理系・文系、どちらを選ぶ?判断で大事にすること
理系・文系、どちらを選ぶ?判断で大事にすること
教育政策に関する研究機関である国立教育政策研究所が2013年に公表した「中学校・高等学校における理系進路選択に関する調査研究」の報告書の中で、大半の高校で2年生の4月から理系と文系にコース分けしていることが示されました。
この調査では、生徒が理系か文系を選ぶ時期は1年生の10月から12月までがもっとも多いことも明らかになっており、多くの高校では1年生のうちに理系・文系の選択をさせて、2年生から選択したコースに進む形をとっていることがわかりました。
理系か文系かを選択することは、その後の大学受験、さらには就職にまで関わってくる重要な機会です。後悔しないように、「理系と文系でその後の勉強がどのように変わるのか」「何を意識して選択をすれば良いのか」といった情報を頭に入れておきましょう。
コース選択で何が変わるのか
理系と文系の大きな違いとして、以下の3点が挙げられます。
1.中心になる教科
コースが分かれたあとは、重点が置かれる教科が変わってきます。
理系では数学と理科系の科目が中心になり、文系では国語・英語・地歴公民が中心になります。
理系でも英語や国語の授業はありますが、理科系科目の比重が高くなり、高度な内容を学びます。文系のカリキュラムでも国語・英語・地歴公民に重点が置かれ、理科系科目は基本的な部分だけを学ぶか、学校によっては学ばない場合もあります。
2.大学の学部の選択肢
大学の学部には、主に理系の分野を学ぶ「理系学部」、逆に主に文系の分野を学ぶ「文系学部」があります。
例えば、理系学部には医学部や工学部、理学部、農学部、水産学部などがあり、文系学部には法学部や文学部、社会学部、経済学部、外国語学部などがあります。
理系学部の入試では特に数学と理科系科目が重要になり、文系学部の入試では国語と英語、地歴公民が重要になります。
大学の学部の中には、理系か文系かが明確に区別できない「文理融合学部」と呼ばれる学部もあります。文理融合学部の例としては、教育学部や総合科学部、芸術系の学部などが挙げられます。文理融合学部では、それぞれの大学で入試科目が異なります。
3.将来の職業
職業の中には専門的なスキルや資格を必要とするものがあり、それらを習得できる学部かどうかが、大学選択の条件になるケースがあります。
また、研究職や開発職など専門性の高い職種の場合は、理系出身の学生でないと就くことが難しくなっています。このように、職業・職種によっては選んだ大学の学部が就職に大きく影響する場合があります。
理系・文系の選択で意識すること
将来就きたい職業が決まっていれば、まずはその職業について詳しく調べましょう。そして、その職業に関する「必要な知識が学べる学部」や「関連している資格が取得できる学部」を調べて、その学部が理系か文系かを基準にコースを選びましょう。
就きたい職業がまだ決まっていない場合は、高校を卒業してから学びたい分野を条件にして、進みたい学部を考えましょう。興味を持った学部が文理融合学部に該当している場合は、行きたい大学の学部の入試科目までチェックして、文系と理系のどちらに重点を置けば良いのかを判断しましょう。
理系・文系のコース選択は、高校に入って初めての進路選択になるでしょう。
まだ自分の将来像が曖昧な人が多い時期ですが、だからと言って「苦手な科目が少ないから」などの消極的な理由だけで決めるのは、自分の可能性を狭めてしまうことになります。
この機会を前向きに受け止めて、自分の将来について考えるきっかけにしましょう。