国際的な大学入学資格「国際バカロレア」とは?
国際的な大学入学資格「国際バカロレア」とは?
世界各国で、『国際バカロレア』という資格を導入している学校が増えています。このプログラムを履修し、試験を受け資格を取得することで、さまざまな国の大学に入学しやすくなります。
日本もグローバルな人材の育成を目的に、国際バカロレア認定校の拡大を進めています。今回は、グローバルな大学入試の取り組みである国際バカロレアに焦点を当て、プログラムの内容や海外での扱いの一例を紹介します。
グローバルな進路選択をうながす「国際バカロレア」
国際バカロレアというのは、スイスのジュネーブに本部がある「国際バカロレア機構」が提供している国際的な教育プログラムです。
文部科学省の公式ウェブサイトでは、国際バカロレアが設置された目的を、「チャレンジに満ちた総合的な教育プログラムとして、世界の複雑さを理解して、そのことに対処できる生徒を育成し、生徒に対し、未来へ責任ある行動をとるための態度とスキルを身に付けさせるとともに、国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)を与え、大学進学へのルートを確保すること」と紹介しています。
学校のカリキュラムは国によって違います。そのため、日本の高校を卒業してから海外の大学へ進学したいと考えても、希望する大学に適した学力があるかどうかをすぐに大学側が判断することができず、入学審査に時間がかかってしまう場合があります。国際バカロレア資格は140以上の国や地域の4,846校(平成29年6月1日現在)で導入されており、この資格を取得することで多く国の大学へ進学しやすくなります。
国際バカロレアのプログラムの内容は?
国際バカロレアでは、対象になる年齢や目的に応じて、以下の4つの教育プログラムが提供されています。
- プライマリー・イヤーズ・プログラム(PYP)
3歳から12歳までを対象に、精神と身体の両方を発達させることを重視したプログラム。
- ミドル・イヤーズ・プログラム(MYP)
11歳から16歳までを対象に、青少年にこれまでの学習と社会のつながりについて学ばせるプログラム。
- ディプロマ・プログラム(DP)
16歳から19歳までを対象にしたプログラムであり、所定のカリキュラムを2年間履修し、最終試験を経て所定の成績を収めると、国際的に認められる大学入学資格(国際バカロレア資格)を取得可能。原則として、英語、フランス語、またはスペイン語で実施。
- キャリア関連プログラム(CP)
16歳から19歳までを対象に、生涯のキャリア形成に必要なスキルの習得を重視したキャリア教育・職業教育に関連したプログラム。一部の科目は英語、フランス語、またはスペイン語で実施。
文部科学省の発表によると、平成29年5月の時点での日本国内の国際バカロレア認定校の数は、PYP実施校が22校、MYP実施校が14校、DP実施校が33校、CP実施校は0校となっています(1校で複数のプログラムを実施している学校もあります)。
海外の大学における国際バカロレア資格の扱いは?
海外の大学の入学者選抜では国際バカロレアのスコアが多く使われており、大学入学資格として幅広く利用されています。
例えば、イギリスでは中央機関が国際バカロレアと共通試験であるAレベルなどのスコアを換算表を使って統一しており、大学はこのスコアを入学オファーを行う際の目安として利用しています。
アメリカの大学の多くはSATなどの共通試験の結果や高校の成績などを総合的に評価して入学者選抜を行っていますが、選抜制の高い大学の中には、国際バカロレアの履修を推奨したり、積極的に考慮するケースも多くみられます。
日本政府では、2018年までに国内の国際バカロレア認定校の数を200校に増加させることを目標に掲げています。しかし、認定校になるためには、科目によっては英語かフランス語、スペイン語によるカリキュラムを実施しなければいけないなどの条件があるため、現状では国際バカロレアのプログラム認定校は限られています。文部科学省は今後の推進方策などを検討するための有識者会議を行うなどして、国際バカロレアを中心としたグローバルな人材育成をうながす取り組みを進めています。
今後の取り組みによって認定校の数が増加すれば、国際バカロレアが大学入学資格の一般的な選択肢として普及することも考えられます。将来は国際的に活動したいと考えている人は、早くから国際バカロレアに注目することで、高校卒業後の進路の選択肢が大きく広がるかもしれません。