重要性が高まる受験生の「表現力」
重要性が高まる受験生の「表現力」
推薦・AO入試で出題される小論文では表現力が大事な評価項目です。さらに2020年度以降に導入される新テストでは、表現力が重視される要素の1つに含まれています。今回はこうした入試と表現力との関係、そして表現力を養うために意識すると良いポイントをお伝えします。
表現力は受験の大事な要素
2020年度から大学入試センター試験に代わって導入される「大学入学共通テスト」の国語の試験では、マークシート式問題の一部変更や記述式問題の導入など、大幅な変更が予定されています。
2017年5月16日、大学入試センターの公式ウェブサイトに国語の記述式問題のモデル問題例が2つ公表されました。モデル問題例1では、城見市という架空の地域の街並み保存地区ガイドラインの内容と、その説明会に参加した父親と娘の会話をもとにした問題が紹介されました。モデル問題例2では、駐車場の使用契約書をテクストにした問題が例示され、さまざまなケースに応じて使用契約書のどこに注目すれば良いのか、トラブルに巻き込まれないためには使用契約書にどのような情報を盛り込めば良かったのか、などの問題が紹介されました。これら2つのモデル問題では、ともに「テクストを場面の中で的確に読み取る力、及び設問中の条件として示された目的等に応じて表現する力」が問われました。これらの内容からは、新テストでは思考力や判断力、表現力が重視されていることがうかがえます。
また、多くの受験生が利用している推薦入試やAO入試の課題である小論文でも、表現力は重要な要素の1つです。
現在では品川女子学院が中等部入試に「表現力・総合型入試」を導入するなど、表現力に重点を置いた試験制度への変更も行われています。このように、近年では表現力の重要性がますます高まってきているのです。
表現力を養う方法とは?
与えられた問題に的確に答えるには、まず自分の頭の中で考えを整理し、その内容を正確に表現することが大切です。そのため、表現力の向上には自身の思考力を養うことが欠かせません。日々起こるさまざまな出来事について「どうしてこうなるのだろう?」「自分ならどうするだろう?」などの視点を持つと、思考力が磨かれます。
身近な人とのコミュニケーションを増やすことも、思考力や表現力を養うための大切な習慣です。例えば、親子でニュース番組や新聞の内容について話し合うと、日常的に自分で考え表現する力が身につきます。さらに、子供が社会への関心を持ち知識を広げるきっかけにもなります。
また、ボキャブラリーを増やすのも表現力を伸ばす大事な方法です。本や新聞を積極的に読み、授業やテレビの内容に真剣に耳を傾けると、表現のバリエーションが広がります。1度読んだり聞いたりしただけではすぐに忘れることもあるので、良い表現だと思った内容はメモしておきましょう。
日常生活の中で工夫をすることで、表現力は培われていきます。日頃から意識するのは簡単ではありませんが、養われた表現力は受験だけではなく、大学入学後や社会に出た後も役立ちます。積極的に対策を行って、大切な表現力を伸ばしましょう。