国立大学協会が英語認定試験と記述式問題(国語)の活用に関する資料を公開
国立大学協会が英語認定試験と記述式問題(国語)の活用に関する資料を公開
2018年6月12日、一般社団法人国立大学協会が「大学入学共通テストの枠組みにおける英語認定試験及び記述式問題(国語)の活用に当たっての参考例等について」という資料を公表しました。この資料には、国立大学が英語認定試験の結果を活用する場合や国語のテストで出題される予定の記述式問題を評価する際の参考例と留意事項が記載されており、国立大学受験者が大学入学共通テストに備える上で参考になります。
英語認定試験の扱いについて
英語認定試験の活用に関しては、その方法が「出願資格とする場合」と「加点方式とする場合」で、異なる留意事項が記載されています。
出願資格とする場合の水準の具体的な設定は、各大学・学部などが主体的に定めるとされています。しかし3月に公表されたガイドラインには「他の教科・科目との関連性も踏まえ、受験生の受験機会の確保について十分に配慮」するよう記載され、英語認定試験の結果のみで受験機会が著しく狭められることがないように留意することが望ましいとされています。具体的な例として、各大学・学部の方針によりCEFR(外国語運用能力の評価のために、欧州を中心に広く利用されている指標)対象表に基づいて、その一定水準以上を受験資格にすることを挙げています。
加点方式とする場合については、各大学・学部などが主体的に定めるとした上で、ガイドラインに記された「英語4技能の総合的な評価を重視するというこのたびの改革(※)の趣旨を踏まえつつ、制度の大幅な変更による受験生や高等学校教育への影響を鑑み、英語全体に占める認定試験の比重については適切なものとなるよう十分に考慮」することが望ましいとしています。具体例として「各大学・学部等の方針により、英語認定試験の結果に基づく加点の点数をCEFR 対照表に基づく水準ごとに定め、その最高点が共通テストの英語の成績と合わせた英語全体の満点に占める割合を、英語4技能学習のインセンティブを与える観点から適切な比重(例えば2割以上)となるようにする」という方法を挙げています。
(※)「このたびの改革」とは、大学入学共通テストへの移行を指します。
上記の「出願資格とする場合」と「加点方式とする場合」を併用する場合は、それぞれの留意点を踏まえる形で、各大学・学部などが主体的に定めるものとしています。
国語の記述式問題の扱いについて
国語の記述式問題では、段階別成績表示による結果を点数化してマークシート式の得点に加点して活用することを基本とするとしています。加点する点数の具体的な設定は、各大学や学部などが主体的に定めます。
また、国語の記述式問題の出題と成績表示の方法に関しては、大学入試センターが実施した試行調査を受けて、小問ごとの段階別表示のみならず、小問に応じた重み付けを行った上で5段階の「総合評価」としての段階別表示を示すという方針が示されています。資料では、これらの点を踏まえた加点の具体的な方法として「例えば『総合評価』の段階別表示の段階ごとに加点する点数を定め、加点する最高点がマークシート式の得点と合わせた国語全体の満点に占める割合を、全体の問題数、構成、試験時間等を勘案した適切な比重(例えば2割程度)とする」という例を記しています。
英語認定試験や国語の記述式問題の扱いについては、多くが各大学・学部が具体的な基準を設定するように定められており、志望校が発表する情報を待つ必要があります。しかし、英検やTOEIC、TOEFLなど、大学共通テストでの導入が予定されている民間試験で高い評価を得ておくと、国立大学の出願に利用できたり英語の試験で加点されたりと、国立大学の受験が有利に進みます。また、国語の記述式問題の参考例で、マークシート方式とあわせて小問ごとに記述式問題が出題される可能性があることも、今回示されました。大学入学共通テストに備えるにあたり、こうした点を参考にして対策を立てておくと良いでしょう。