数学を通してさまざまな力を競う。日本数学検定協会が実施する「数学甲子園」
数学を通してさまざまな力を競う。日本数学検定協会が実施する「数学甲子園」
公益財団法人日本数学検定協会が、2018年9月16日に実施された「数学甲子園2018」の結果を公開しました。今回11回目の開催となった数学甲子園2018に着目し、今大会の結果を含め、この大会の概要について紹介します。
数学甲子園の概要
数学甲子園(全国数学選手権大会)は、全国の中学・高校・高専生が団体戦で数学の力を競う大会で、「実用数学技能検定」の20周年記念事業の一環として2008年に始まりました。また、生涯学習の観点から数学を通じて考える力や発想力を高め、教育・ものづくりなどの発展に寄与するという目的があります。数学の問題を解く力だけではなく、「問題解決力」「チームワーク力」「創作力」「プレゼンテーション力」など幅広い能力が問われます。
2018年の大会では、同一の中学校、高等学校、中高一貫教育校、高等専門学校(3年生まで)に在籍する生徒または学生3~5人でチームを編成することが参加条件でした。参加選手が個々に問題20問を60分以内に解答する予選が行われ、チームの平均点にもとづいて本選に進むチームが選抜されます。選抜されたチームは本選(事前)として、課題テーマに沿った問題を創作し、「Math Live」で行うプレゼンテーション資料(「問題のねらい・創作問題」と「模範解答」各1枚)を90分以内に作成する「Math Create」を行います。本選当日はチーム全員で問題18問を60分以内に解答する「Math Battle」が行われ、「Math Create」と「Math Battle」の得点にもとづいて6チームが選抜されます。選抜された6チームと敗者復活で選ばれた1チームは、「Math Create」で創作した問題についてプレゼンテーションと質疑応答を行う「Math Live」に進みます。そして、「Math Create」「Math Battle」「Math Live」の合計得点が一番高いチームが優勝となります。
数学甲子園2018の結果
数学甲子園2018では、全国から、278校610チーム2,425人が参加しました。優勝したのは神奈川県の栄光学園高等学校「数学界のTouristチーム」で、同校は本大会7度目の出場で初の優勝となり、関東の学校が優勝したのは7年ぶり2度目のことでした。
栄光学園高等学校「数学界のTouristチーム」は「Math Live」で、任意の大きさの部屋において、ある大きさをもつ動物小屋の置き方についての問題を発表しました。この問題は組み合わせの問題でありながらも図形的考察を取り入れていることから、総合的な数学力が求められる点で高く評価されました。
チーム対抗戦や3つの競技などの特徴を備えた数学甲子園は、数学を通してさまざまな能力を問う大会です。数学に自信がある人はもちろんのこと、仲間と課題に取り組み、成長したいと考える人は、数学甲子園の参加について考えてみてください。