文科省が2020年から始まる大学就学支援の高校向けの手引き書を公開。気になる保護者は今から準備を
授業料及び入学金の減免と給付型奨学金を支給
文部科学省は5月17日、高等学校などに向けた「大学等への修学支援の措置に係る学修意欲等の確認の手引き」を公表しました。
2020年から新しい大学修学支援制度をスタートするのに当たり、高等学校などが生徒の学修意欲や進学目的を確認する基本的な考え方を示したもの。この制度に推薦された生徒は、大学の①授業料及び入学金の減免と、②給付型奨学金の支給を併せて受けることができます。
以下、手引きのポイントを見ていきましょう。まず推薦の責任者は学校長になります。学校長は独立行政法人日本学生支援機構に対し、奨学生の対象となる生徒及び卒業者(卒業2年以内)を推薦します。
推薦対象者が基準に該当するかどうかの判定は、高校での在学時の成績だけで否定的な判断をせず、高校がレポートの提出や面談などにより、進学前の明確な進路意識と強い学びの意欲を確認することが基本です。
具体的には、高校での日常的な学習状況や進路指導などを勘案しながら、まず学習成績が規定に達しているかを確認し、これに該当しない場合でもレポートや面談などで学修意欲を確認するとしています。
高校の平均評定3.5以上。それ以下でも救済策あり
学習成績の確認基準は、「高等学校等の指導要録における各教科、科目等の評定の平均が3.5以上であること」と明快です。さらに「学習成績の確認に当たっては、高等学校等在学者については1年生から2年生まで(既卒者は3年生まで)の期間の状況を考慮することを基本とし、各高等学校等の実情に応じて、3年生時の状況を加味することができる」と述べています。
これに対して、学業成績が規定に満たない場合は「高等学校等において生徒等からレポートの提出を求め、又は、生徒等に対する面談等を実施することで次の各項目を確認することにより行う」。具体的には下記のような「各観点のいずれかが述べられているか」を確認していきます。
① 進学の目的(進学後の将来の展望を含む。)
・進学の目的が明確に述べられているか
・進学の目的を自身の言葉で表現できているか
・卒業後の将来の展望が述べられているか
・社会で自立し、活躍できるようになることが期待できるか
② 進学後の学修継続の意志
・進学後、卒業まで学修を全うとしようとする意志があるか
・進学後にしっかりと学ぼうとする意欲があるか
・その他、学修の意欲が十分にあると認められるか
日本学生支援機構の「給付奨学金シミュレーション」を試す
一方、保護者の収入や資産についてはどんな規定が設けられているのでしょうか。手引き書では「修学支援の措置においては、対象者(生徒等)及びその生計維持者の収入及び資産に関する要件が設けられているが、これらの要件は、機構が確認するものであり、高等学校等における確認を求めるものではない」と述べています。
また収入に関する要件の確認では、自身が対象になるか、どの程度の支援額を受けられるかを分かりやすく試算できる「給付奨学金シミュレーション」を機構のホームページ上で公開していると言います。
さらに「その活用により大学等への進学に係る家計負担の見通しが立てやすくなることが期待されることから、生徒等及びその生計維持者へのその周知に努めること」と、高校側に求めています。
なお、下記は新しい大学就学支援制度のために設けられた給付奨学金シミュレーションのサイトのURLです。
- 進学資金シミュレーター(日本学生支援機構)
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/oyakudachi/shogakukin-simulator.html
出典:文部科学省ホームページ (http://www.mext.go.jp/)