中学生の英語4技能の指導ポイントを発表。めざましい伸び率の学校も
17年と18年、英語4技能検定「GTEC」を実施して比較
進展するグローバル化の中、そこで活躍できる人材が求められています。その基本となるのが英語力ですが、子どもの英語力はどうしたら向上するのでしょうか?
岡山県教育委員会はこのほど、中学生の英語4技能「Listening(聞く)」「Speaking(話す)」「Reading(読む)」「Writing(書く)」をバランスよく高めるための指導のポイントをまとめて公表しました。
併せてベネッセコーポレーションの英語4技能検定「GTEC(ジーテック)」を17年と18年に実施、その達成率(スコア)が大幅に伸びた県内中学校の取り組みも紹介しています。
実際のスコアの変化はどうだったのでしょうか。それぞれの伸び率は、Listeningでは県平均17年50.4→18年57.1(伸びの大きい学校17年46.2→18年61.4)、Speakingでは17年21.7→18年45.8(17年27.1→18年63.2)、Readingでは17年33.8→18年45.4(17年36.0→18年62.7)、Writingでは17年39.5→18年49.1(17年34.6→18年54.8)。
特にSpeakingとReadingの伸びが大きい学校は、それぞれ36.1、26.7アップとめざましい伸び率を示しています。
達成率を大きく伸ばした学校の取り組みとして、「明確な目的を持って読み書きを行う」「多くの英文を聞かせる」「積極的に英語を話す場を設定する」「基本的な語彙力や文章力を定着させる」などのポイントを挙げています。
簡単な語彙や文を使って意見や考えをやり取り
それでは伸び率がとりわけ高かったSpeakingについて具体的に見ていきましょう。
まずSpeakingで求められているのは、習得した語彙や文法を使って、相手と【やり取り】したり【発表】したりする力と言います。
そのため、教科書本文を繰り返し活用し、イントネーションなどを正しく習得するとともに、「教科書本文に関するQ&Aを実施し、その答えを発表することなどを通し、少しずつ人前で英語で発表することに慣れさせ、実際のやり取りにおいて活用できるようにしましょう。」と説明しています。
また、「多くの語句に加え、発話のための表現力も身に付けることが求められるため、帯学習などで繰り返し、Speakingのための練習を取り入れましょう。」とも述べています。
そこで【やり取り】では、コミュニケーションを意識しながら「文法などの細かな間違いを気にすることなく、簡単な単語や文章で構わないので、まずは相手に自分の伝えたいことを話し、そこからやり取りを継続させていく中で、コミュニケーションの内容を深めるようにする。興味を引きやすい出来事を取り上げるなどして、とにかく自分から話したくなるように意識させることが大切」だとアドバイスしています。
表現の定着を目標に授業開始直後の活用事例を紹介
同様に【発表】でも「話すことに慣れさせるため、あらかじめ決めたテーマに対する意見を発表させる。その後、日常的な出来事に対する自分の考えや気持ちなどをまとめたり、見聞きした出来事にどのような考えや思いを理由も含めて発表したりする」と即興で話す力を高めたり、相手に伝えることを意識させることを要点として挙げています。
さらに末尾では、岡山県内の事例紹介として、表現の定着を目標として授業の始まりに活用し、質問に即興で答えることに慣れさせる「しゃべプリ007」や、授業開始の5分間で使用し、対話表現を覚えさせる「すらすら英会話」などを紹介しています。
日本人の英語力は、諸外国と比べても低く、特にコミュニケーションで大事なListeningとSpeakingが苦手と言われています。中学生の英語4技能をバランスよく伸ばすことを目標にする岡山県の取り組みは、同世代の子どもを持つ保護者の方にも参考になるでしょう。
出典:「中学校英語 4技能をバランスよく育成するために」(岡山県教育委員会)(http://www.pref.okayama.jp/site/16/620482.html)