大学入試センターが「大学入学共通テスト」のFAQを公開
試験説明協議会に寄せられた質問を41項目にまとめる
大学入試センターが「令和2年度大学入学者選抜大学入試センター試験説明協議会」に寄せられた質問と、それに対する回答をまとめたFAQ(よくある質問)をウェブサイトで公表しました。
2020年度から実施される大学入学共通テストは、従来のセンター試験とは異なる部分が多く、制度自体も流動的なので、該当する受験生は不安を抱えていることでしょう。まずはこのFAQを読んで基本的な疑問を解決してください。
全体で41項目とコンパクトですから、プリントアウトしてじっくり読み込むことをお薦めします。ただし、2019年11月に大学入学共通テストへの英語民間試験活用が延期される以前の内容ですので、その点を留意して読んでください。
また、同じページに「大学入試英語成績提供システム」に関するFAQへのリンクも掲載されていますが、それも同様です。それでは、注目できるFAQのいくつかを見ていきましょう。
記述式問題に対する質問が多数を占める
FAQは、大学入学共通テストから始まる記述式問題に関する質問が多数を占めています。もっとも象徴的なのが次の質問です。
記述式問題の採点に関して、文科省が「学生バイトを認める方針」を固めたとの報道があることの事実確認や、採点の公平性をどのように担保するのかという質問に対して、次のように回答しています。
「当センターでは、文部科学省が示している大学入学共通テスト実施方針にしたがって、記述式の採点業務については『民間事業者を有効に活用』して行う」と、民間事業者に発注する方針を示しています。
また、採点の公平については民間事業者に対し「厳正な審査を行って採点の適性がある採点者を採用すること、採点者に対して事前に十分な研修を行うこと、複数の視点で組織的・多層的に採点を行う体制を構築すること等を求めていく予定です」としています。
採点者に学生アルバイトを採用することについては、特に否定するコメントはありませんでした。
記述式問題の自己採点と採点結果の不一致
記述式問題の自己採点についてのFAQも少なくありません。例えば、自己採点と実際の採点結果の不一致について、どのような対応策を考えているかについても次のように回答しています。
2018年11月の試行調査(プレテスト)では、「正答の条件に基づいた採点の仕方や当該正答の条件の内容が受験者に十分に周知されておらず、特に国語において、自分の解答が正答の条件を満たしているのかどうか判断に迷ったのではないかと考えられます」と、施行調査では自己採点が難しかったことを認めています。
しかし、「自己採点に必要な国語の資質・能力、すなわち、自分の解答が『正答の条件』を満たしているのかどうかを客観的に判断する力は、小・中・高等学校において育成が図られているところ」と、その能力はこれまでの授業の中で育まれているはずと回答。
ただ「引き続き、高等学校国語科における指導の充実が図られるよう、文部科学省と連携して取り組んでまいります」としています。
「なお、当センターにおいても、正答の条件に基づく採点の仕方や正答の条件についての考え方などに関する参考資料を、年度内を目途に作成し、高等学校等に周知する予定です」ということですから、それに注目してください。
数学2科目と理科3科目は試行調査と出題傾向が変わる可能性も
試行調査の問題の内容が、共通テストでも同様に出題されるのかという質問もあります。これについては科目によって回答が異なります。
試行調査では「平均得点率(平均正答率)が5割以上となった教科・科目等については、試行調査における問題作成の方向性を問題作成方針に反映し、共通テストの作問に生かしていきます」ということですので、プレテストの出題傾向が本番にも反映されます。
ただし、5割程度に達しなかった数学2科目と理科3科目は「改善する内容を問題作成方針に反映し、共通テストの作問に生かしていくこととしています」と、変更される部分があるようです。
さらに「個別の問題の内容・形式、難易度等については、今後の具体の問題作成の過程で必要に応じた検討を行うこととしています」としており、引き続き情報収集が必要なことを示唆しています。
受験生とその保護者としては、早期の方針決定を期待するばかりですが、内容の確定までまだ時間がかかりそうです。情報収集で遅れをとらないように、広くアンテナを張っておいてください。
出典:「令和2年度説明協議会における共通テストFAQ」(独立行政法人大学入試センター)https://www.dnc.ac.jp/hspersons/index_kyougikai_kyoututest.html