大学入試で存在感が増す「小論文」書き方のコツとポイント
2020年度からの新しい推薦・AO入試で小論文重視も
国公立大学の二次試験で課されることも多い小論文ですが、2020年度からの大学入試改革ではよりその重要度が高まっています。
文部科学省は推薦入試とAO入試の選抜方法を以下のように改訂するとともに、その名称もそれぞれ「学校推薦型選抜」「総合型選抜」に変更する方針を打ち出しています。
「調査書等の出願書類だけでなく、①各大学が実施する評価方法等(例:小論文、プレゼンテーション、口頭試問、実技、各教科・科目に係るテスト、資格・検定試験の成績等)もしくは②『大学入学共通テスト』の少なくともいずれか一つによる評価を必須化する」と文科省。
学校推薦型選抜や総合型選抜に小論文を課すかどうかは各大学の判断ですが、従来の推薦入試では事実上、書類審査で合格が決まるケースも少なくありませんでしたから大違いです。
それでなくても、2020年度からの大学入学共通テストでは、国語と数学に記述式問題が課される予定です。スマホやパソコンに文書を入力するのではなく、「紙に文章を書く」ことに日頃から慣れておく必要があります。
他人の受け売りではなく、自分の意見で相手を説得するつもりで
大学入試での小論文とは、受験生の論理的な思考や表現力を問う短い文章のこと。国公立大学、私立大学で長さが異なるものの、与えられたテーマに対して概ね800~1500文字程度でまとめることが求められます。
まとめた文字数が極端に少なかったり、文章がよじれていて意味が取れなかったり、誤字や脱字があったりすれば減点の対象になるのは言うまでもありません。
作文と小論文は違います。作文は自分が体験したこと、感じたことなどを文章にしたもの。これに対して小論文は、テーマに対して自分の主張や考えを、具体的な事例なども交えてまとめる論理的な文章です。
単にあったことを描写するのではなく、自分の意見を相手に伝えて論理的に説得する、そんな姿勢で臨むのが小論文です。
小論文を書くうえで参考になるのが新聞の論説です。論説は、各紙ウェブで無料公開していますので、小論文の練習に活用してください。
各紙を読み比べると、それぞれ立場が異なることも分かり興味深いです。時事問題の勉強にもなりますので一挙両得になります。
ただ、入試の出題者は新聞の受け売りではなく、受験者の意見を求めているので、自分ならどう書くか考えながら読むことが大事です。
課題文の付いた小論文は、要点を読み取る力も試す
文章を論理的に組み立てるコツは、設問を見てすぐに書き始めるのではなく、書く前に構成を考えることです。
設問に対する導入文である「序論」、具体的な事例や論拠を示す「本論」、それらをまとめる「結論」に展開を分け、それぞれの要素を箇条書きにしてから書き始めると論理的な破綻を防ぐことができます。
このとき、序論で自分の立場を明確にしてから本論に入っていくと、採点者もスムーズに読み進むことができます。本論が右に左に蛇行したうえ、結論でようやく何が書いてあるのか分かるのでは、採点者も疲れるからです。
小論文では、示された課題文を読ませたうえで受験者の考えを聞く出題も少なくありません。
こうした出題では、まず課題文を正しく読み取る必要があります。読み取りが間違っていたり、不正確だったりすると、せっかくの解答が無意味になってしまいます。
この場合も、他人の受け売りではないあなたの意見を述べるのがポイント。論拠を示して批判するのもよし、別の角度からアプローチするのもよし。読み応えのある文章になっていれば高得点を稼げることでしょう。
出典:「3-2-4『学校推薦型選抜』(現行 推薦入試)における評価方法の改善点を教えてください」(文部科学省)http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1402203.htm、「3-2-2 『総合型選抜』(現行 AO入試)における評価方法の改善点を教えてください」(文部科学省) http://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/koudai/detail/1402201.htm