小中学校の英語教育はどう変わるのかを文科省のYouTube動画で見る
小学校での英語の授業開始で中高での取り組みも変わる
2020年度からの学習指導要領改定に当たり、大改革が行われるのが英語教育です。特に小学校では、小学3、4年生で外国語活動として、小学5、6年生で教科として英語の授業がスタート。すでに小学3、4年生では、移行期間として部分的に外国語教育が始まっています。
小学校で英語の授業が始まれば、中学校についてもカリキュラムの抜本的な改善が不可欠です。そして高校でも、新しい大学入学共通テストの実施に伴う英語の資格・検定試験の導入という大改革期を迎えています。
グローバル化の急速な進展の中、学校での英語教育は、小中高等学校すべてで大きく変貌を遂げようとしているのです。
文部科学省は、動画配信サイトのYouTubeに「文部科学省チャンネル」を設けています。そこで英語教育がどう変わり小中高等学校それぞれ何がポイントなのかを、専門家の意見や教育現場の実例を交えて、下記5本の動画で紹介しています。
学校の先生向けのコンテンツですが、どの動画も20分程度とコンパクトですので、その世代のお子さんをお持ちの保護者の方は、新しい英語教育の従来との違いや狙いを知るために、ぜひご覧になることをお薦めします。
言語の構造や文法よりも、コミュニケーションを優先
それでは簡単に動画の内容について触れていきましょう。
第1弾は「日本の外国語教育はこう変わる!」をテーマに、上智大学の吉田研作教授と文科省の金城太一外国語教育推進室長が対談しています。
吉田教授は、平成26年の英語教育の在り方に関する有識者会議で座長を務め、今回の学習指導要領改訂では中央教育審議会特別部会の委員や外国語ワーキンググループの主査を務めています。
対談は、外国語(英語)教育の改訂のポイントから始まりました。吉田教授は、従来の言語教育が言語の構造を教えたり、その知識を与えたりという前提の基にコミュニケーションする立場だったのに対し、今回の改革はそれとは逆に、「コミュニケーションすることから入って、その中でいろいろな気づきがもたらされれば、その気づきに答えられるような知識を与えていくことを目指します」と語ります。
文法よりもコミュニケーション優先。読めて書けても話せない、日本人の英語力の抜本的な改革が大命題なのです。日本人全体が外国語に対して自信がありません。外国人と関わることに非常に消極的。それを変えていかなければ、今後のグローバル社会で生きていくのは難しくなります。
今回の学習指導要領は、活用することにポイントを置いて改訂されています。
「従って授業は今まで以上に、教師中心ではなく生徒中心になります。生徒が英語を使って自らの考えを形成し、それを発表していく。そういう活動を今までよりもずっと多く授業に取り入れていく必要があります」
新しい学習指導要領の全面実施まで、小学校が残り半年、中学校が1年半、高等学校は学年進行ですが2年半に迫っています。今回の改訂の成否は、この移行期間をどのように活用するかにあるといっても過言ではないと言います。吉田教授は、小中高等学校の先生たちに次のように呼びかけました。
「今回の改訂は小学校から始まります。始まったのを中学校の先生も見てください。まだ中学校では始まっていないけれど、小学校では何をやっているか見て、それをしっかりと理解したうえで、今度中学校が学習指導要領を施行されるときに、こういう子どもたちが入ってくるのだからこうやればいいんだ、ということで教えてください。
高等学校の先生もそれまでの小学校、中学校でどのような授業が行われ、どういうように学習指導要領が実施されているか、ちゃんと見てください。そのうえで、高校生に対してどう対応していくか、教えていくかということを考えてもらいたいです」
2020年からの改訂に沿った小学校、中学校での授業をリポート
なお、第2弾と第3弾の内容は次のようなものです。
第2弾(前後編の2回)は、「小学校の外国語教育はこう変わる!」をテーマに、前編では東京都の大田区立洗足池小学校での授業の様子をリポート。
そして後編では、同校のこれまでの取り組みを含め、同小学校の射水博子主任教諭と文科省の直山木綿子教科調査官が対談しています。
第3弾(前後編の2回)は、「中学校の外国語教育はこう変わる!」をテーマに、前編では茨城県の下妻市立下妻中学校での授業の様子をリポート。
そして後編では、同校でのこれまでの取り組みを含め、同中学校の木村涼子教諭と文科省の山田誠志教科調査官が対談しています。
出典:「第1弾【日本の外国語教育はこう変わる!】、第2弾【小学校の外国語教育はこう変わる!~前編(授業)~】、第2弾【小学校の外国語教育はこう変わる!~後編(授業を振り返っての対談)~】、第3弾【中学校の外国語教育はこう変わる!~前編(授業)~】、第3弾【中学校の外国語教育はこう変わる!~後編(対談)~】」(文部科学省 YouTubeチャンネル)