子どものヤル気を引き出すには、まず話を聞くこと、誉めること
友だちの成績が急に伸びて、焦りを感じる子どもも
「勉強しなさい!」「宿題は済んだの?」「隣のAちゃんと比べてあなたは……」。我が子につい言ってしまう保護者の方も多いでしょう。
しかし、ご自身の子ども時代にそう親に言われて、どうだったでしょうか? ヤル気が失せましたよね。あるいは渋々、勉強を始めたでしょうか。渋々ですから、勉強は身につきません。
子どももやらなければならないと思っているのです。小学校も3、4年生になってくると塾に行き始める友だちが増えてきます。
急に成績が伸びたり、簡単な英語が話せたり、中学受験について口にしたりする友だちも現われてきます。
そうした中で、自分は取り残されるのではないかという焦りを感じ、ストレスになっているかもしれません。でも、なんだかヤル気が起きないのです。勉強する習慣がないことも関係しています。
子どもの話をよく聞くことで不安やストレスを発散させる
保護者が子どもにできることとは何でしょうか。先回りして子どもに何でも用意してしまう親がいます。そうした状況では、何でも親が用意してくれるので「待ち」の子どもに育ってしまいかねません。
中学受験をするのは子ども自身ですし、未来を生きていくのも子ども自身なのです。本来、親がすべきことは口やかましく言うことではなく、子どものサポートに回ることです。
まず保護者ができることは、子どもの話をよく聞くことです。今日、学校で何があったのかということから、先生や友だちのこと、勉強や遊びのこと、好きなこと嫌いなこと、悩みや将来の希望まで聞いてあげてください。
そして子どもの話を聞くだけでもよいのですが、必要に応じて適切にアドバイスしてストレスを解消してあげてください。子どもと一緒の時間をあまり過ごせない場合でも、親として子どもを大切に思っている気持ちを伝えましょう。
子どもも中学校に入るぐらいになると親離れしてきますが、小学生3、4年ぐらいまでは親の存在がとても大きいのです。
誉めることで子どもの承認欲求を満足させる
もう一つ大事なことが誉めることです。大人でも子どもでも同じですが、人には承認欲求があります。減点法ではなく加点法が基本です。「すごい!」「やったね!」「感動したよ!」と、子どもの良い部分を見付けて誉めてあげましょう。
例えば、子どもに多少注文したい点があった場合でも「ここがとてもいいね。でも、ここをこうすればもっとよくなるよ」といったように適切にアドバイスすれば、子どものヤル気をもっと刺激できます。
ただし、誉めることと甘やかすことは異なりますので、躾も忘れないでください。
また、子どもが家庭で孤独感や不安感を抱かないようにすることも大事です。例えば、子どもの目の前で、子どもが不安になるほどの夫婦喧嘩をするのは厳禁です。それは子どもの心に傷を残します。
子どもが、夫婦とは言え人間同士、喧嘩もするさ、と理解するのはずっと大人になってからなのです。
子どもが自ら学ぶ環境作り。講演会や展示会で夢を発見
子どものヤル気を引き出すには、環境作りも見逃せないポイントになります。学者の家系から学者が育ったり、スポーツ選手の親からスポーツ選手が育ったりしやすいのは、遺伝的要素ばかりではありません。
幼い頃からそうなりやすい環境があり、長じて親と同じ職業に就いているといったケースも多いでしょう。
従って、本をよく読んで勉強する子どもに育てたければ、家の本棚にたくさんの書籍が収められている環境で育てた方がよいでしょう。親が本をよく読んでいれば、子どもも本を読むようになります。
世の中の事柄に敏感な子どもに育てたければ、新聞を取って子どもにも読ませてください。ニュースの意味が十分には分からなくとも、早くから文字に親しんでいてマイナスにはなりません。
ヤル気の起爆剤は、他にもたくさんあります。例えば、講演会や展覧会に連れて行ったり、大自然の中でキャンプをしたりすることで、将来の夢を発見するかもしれません。また、自宅に外国人がホームステイしたのをきっかけに、外国語に興味がでることもあるでしょう。
子どもは人との出会いや環境の変化に敏感ですから、いろいろなチャンスを有効に生かしたいものです。