「偏差値」のしくみ、知っていますか? 偏差値の意味や算出方法を解説します
しくみはあまり知られていない「偏差値」
学力の指標として広く使われている「偏差値」。自分の学力が現状どのあたりに位置しているのか把握したり、勉強の成果を数値で確認できたり、志望校の合格ラインを確認することなどに使うことができますが、そのしくみや算出方法については意外に知られていません。
偏差値のしくみを知ることは、勉強の成果や指針をより正確に判断することにつながります。
「偏差値」とは何か?
偏差値とは「偏差」つまり「平均値からどの程度偏っているか」を表す数値です。もう少し分かりやすく言うと、平均点と自分の点数の差が偏差値です。
平均値の偏差値は50と定められています。
よって、テストの点数が平均点と全く同じだった場合の偏差値は50となり、平均点との差が大きいほど、偏差値は50から離れた数値になるわけです。
なぜ「偏差値」が必要なの?
例えば、太郎君と花子さんの2人の生徒がいたとします。
太郎君はテストAで80点をとり、花子さんはテストBで60点をとりました。
この場合、太郎君のほうが高い点数をとっているので、太郎君のほうが優秀に見えるかもしれませんが、上の情報だけではどちらの生徒が優秀か分かりません。なぜなら、テストAとテストBでは、平均点が違うかもしれないからです。
では、テストAの平均点は40点、テストBの平均点が60点だったらどうでしょう?
テスト 得点 平均点
太郎君 A 80 40
花子さん B 60 60
この場合は太郎君のほうが優秀と言えそうです。なぜなら花子さんは平均点と同じ点数ですが、太郎君は平均点より高い点数をとっているからです。
次に、テストA、テストBの平均点が両方とも50点だった場合を考えてみましょう。
テスト 得点 平均点
太郎君 A 80 50
花子さん B 60 50
一見、平均点より30点も高い太郎君のほうが花子さんよりも優秀に見えますが、そうとは限りません。各生徒の点数が平均点に対して、どれくらいばらつきがあるのかを考える必要があります。
ポイントは「平均点」と「標準偏差」
例えばテストAでは100人中10人が平均点である50点をとり、残りの90人の点数が10点〜90点の間に広く分布していたとすると、テストAの「点数のばらつき具合」は大きいといえます。
一方テストBでは100人中半数の50人が平均点の50点をとり、残りの50人は40点〜60点の間に密集して分布していたとすると、テストBの「点数のばらつき具合」は小さいといえます。
太郎君はテストAで80点をとりましたが、「点数のばらつき具合」の大きいテストAで80点以上をとった生徒は20人位いたかもしれません。
一方、花子さんはテストBで60点をとりましたが、「点数のばらつき具合」の小さいテストBにおいて、60点をマークした生徒は花子さんのほか数名だけだったかもしれません。
そのような場合は、花子さんのほうが太郎君よりも優秀ということになります。
この点数のばらつき具合を「標準偏差」といいますが、このように学力の高さを正確に判断するには、そのテストにおける「平均点」と「標準偏差」を考慮する必要があり、それらを表したものが「偏差値」というわけです。
偏差値の求め方
上記の通り、偏差値を求めるには、まず平均点と標準偏差を算出する必要があります。そして、以下の式を用いることで偏差値を求めることができます。
偏差値=(自分の得点-平均点)÷標準偏差×10+50
まず自分の得点と平均点との差(偏差)を求め、その数値を標準偏差で割ったのちに10倍し、最後に50を足します。
自分の得点と平均点が全く同じだった場合は、偏差は0となるので、偏差値は50です。
例として、先ほどの太郎君と花子さんの偏差値を求めてみましょう。
ここではテストAの標準偏差が30、テストBの標準偏差が5だったとします。
※標準偏差の求め方は少し複雑なのでここでは割愛します。
テスト 得点 平均点 標準偏差 偏差値
太郎君 A 80 50 30 60
花子さん B 60 50 5 70
このように偏差値を求めることによって、ようやく2人の学力の差を正確に数値化することができました。
高い偏差値をマークする方法
理論上は100以上の偏差値や、マイナスの偏差値が出ることもあり得ますが、一般的なテストは偏差値がだいたい25〜75の範囲に収まるように作られています。
では、高い偏差値をマークするにはどうすればよいでしょうか?
もちろん、テストで高い得点を取ればよいのですが、具体的には標準偏差の小さいテストで高い得点をとると、偏差値は高くなります。
つまり、平均点が低く大多数の人が平均点付近の得点をとっているような難しいテストにおいて、高い得点を取ることが条件ということです。
とはいえ、高い偏差値を取ること自体はさほど重要ではありません。集団の中で自分が今どの位置にいるのか正確に把握し、その上で対策を考え、地道に努力を積み重ねることが何より大切です。