ロボットやAIによって将来「無くなる職業」とは?
衝撃的な論文が話題に
近年のロボットやAIといった先端技術の急速な発展により、そう遠くない未来において、人間が行う仕事の約半分が機械に奪われるというショッキングな予測がなされて話題を呼んでいます。
そんな衝撃的な予測を出したオックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授の論文『雇用の未来』の中から、将来「無くなる職業」として指摘された職業をご紹介します。
「無くなる職業」の判断基準
将来「無くなる職業」というのは、ロボットやAIの持つ能力が、人間の能力と同等あるいはそれ以上の水準に達した時に、その仕事が機械に取って代わられるということです。
オズボーン氏がまず注目しているのは「ビッグデータ」による「情報分析能力」です。
コンピュータの発達により、これまで解析不可能だった複雑で莫大なデータを処理できるようになったため、従来では不可能と考えられていた作業のルーチン化が可能になりつつあるといいます。
例えば医療分野においては、膨大な量の医療報告書や患者記録、臨床試験などのビッグデータを分析し、患者一人ひとりの症状や遺伝子などの情報と照らし合わせることで、最適な治療計画の作成に成功しています。
次にオズボーン氏が挙げるのは「センサー技術」による「認識能力」です。
カメラの飛躍的な技術革新により、これまで人間が監視・観察していたものが、機械に取って代わるようになるだろうと指摘しています。
人間は休憩や睡眠が必要不可欠ですが、機械なら24時間365日監視を続けることができます。また集中力の低下や勘違いなど、ヒューマンエラーを起こす恐れもないので、認知能力にかけては人間より機械のほうが優れているといえるでしょう。
そして「情報分析能力」と「認知能力」を獲得したコンピュータは、「判断力」をも手に入れつつあるといいます。
身近なところでは、Googleの「Googleアシスタント」やAppleの「Siri」といった会話型AIが代表的です。
また、コールセンター業務を自動化する音声応答システムの技術も既に現実のものとなっていますし、金融業界では大量のデータを処理して市場動向を分析し、トレーダーよりも迅速に投資判断を下すAIが登場しています。
10〜20年で「無くなる職業」とは?
それでは、具体的にどのような職業が機械に取って代わられることになるのでしょうか?
オズボーン氏が全702種の職業から、今後10年から20年で消える可能性が高いと指摘した職業を一部ご紹介します(順不同)。
・レジ係
・電話オペレータ
・受付係、案内係
・一般事務員、秘書
・データ入力作業員
・保険やクレジットカード会社の審査担当者
・銀行の融資担当者
・不動産ブローカー
・簿記、会計、監査の事務員
・スポーツの審判
・測定作業員
・訪問販売員
・集金人
・時計、カメラの修理技師
「残る職業」はどのようなものか?
一方、どんなにコンピュータが発達したとしても、人間にしかできない職業も存在します。
例えば、心理学者や医師、ソーシャルワーカー、メンタルヘルスケア、セラピストなど、人間の心や精神に寄り添う職業は、コンピュータが代替するのは不可能といいます。
またセールスエンジニアのように、販売だけでなく技術的なサポートも行う職種もそうです。技術的なアドバイスや説明などを顧客に分かりやすく伝えたり、顧客のニーズを正確に汲み取ったりといった高度なコミュニケーション能力を必要とするので、コンピュータには難しいとされています。
その他には経営者やクリエイター、デザイナーなど、柔軟な発想によって新しい価値を生み出す創造的な仕事は、今後も人間が担っていくことでしょう。
ロボットやコンピュータに職を奪われるのではないかと悲観する必要はありません。コンピュータが得意な仕事はコンピュータに任せ、人間はより高度でクリエイティブな仕事に集中できるようになると前向きに捉え、ロボットやコンピュータとうまく共存していくことが大切ではないでしょうか。