「高大接続改革」とは? 入試や教育はどう変わるか
2020年から大学受験が変わる?
大学受験を控えた高校生や親御さんの中には「2020年から大学受験が変わる」と聞いたことはあるものの、具体的にどのように変わるのかよくわからないという方も少なくないのではないでしょうか。
これには、「高大接続改革」という言葉が大きく関わっています。
高大接続改革とは?
高大接続改革とは、文部科学省が推進する「高校教育」「大学入試」「大学教育」の3つを一体として捉えた教育改革です。
この改革の背景には、現代のグローバル化や、情報技術・AIの飛躍的な進歩、少子高齢化による国内の生産年齢人口の減少といった日本を取り巻く社会情勢にあります。
これから到来すると考えられる予測困難な時代においても、新たな価値を想像していくことができる人材を育てることが急務とされています。それを実現するための具体的なプランが高大接続改革です。
学力の3要素
高大接続改革では、これからの社会を生き抜くためには「学力の3要素」を育成する必要があるとしています。
学力の3要素とは「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「主体的・多様性・協同性」を指し、これらがすべて備わってこそ、新たな価値を生み出すことができるということです。
従来の大学受験制度は知識や技能に重きが置かれ、その影響で高校教育では知識を詰め込む教育が主流となっていました。
高校教育を変革するには、大学受験のあり方を変える必要があります。そして大学教育は、高校教育で培われた学力をさらに伸ばし、発展させる教育が求められます。
このように「学力の3要素」を育成するためには、高校教育や大学教育、受験制度などを個別に変えていくのでは困難で、「高校教育」「大学入試」「大学教育」を一体的に変革する必要があるのです。
具体的は変更点
それでは、高大接続改革によって具体的にどのような変更点があるのか見ていきましょう。
まず1つ目は、知識重視の入試から、学力の3要素を多面的・総合的に判断する入試に変わることです。知識を覚えているかを判断する試験ではなく、思考力や判断力が求められるような試験に変わります。その一例が、英語における4技能テストの導入です。
2つ目に、「センター試験」が「大学入学共通テスト」に名称変更され、内容も変わります。記述式問題が導入され、英語の試験が廃止となります。そのかわりに英語の試験については、英検やTOEICなどの外部試験の受験が必須となります。ただし、これらの導入は実施が延期され、現在も見通しがたっていません。
3つ目は推薦・AO入試の変更です。推薦入試は「学校推薦型選抜」へ、AO入試は「総合型選抜」へと名称が変わり、これまで免除されることも多かった学力試験が義務付けられます。
4つ目は、高等学校教育の改革です。教育の質の向上を図り、生徒が主体的に学ぶ力を習得できる教育への改革が行われます。
また調査書の様式の見直しや、学習成果の評価方法も、学習の3要素を反映した内容に変更されます。
そして5つ目が大学教育で、多様な学生が切磋琢磨して、互いに刺激を与えながら成長できる場となるように改革を行います。また、高等学校教育までに培った力を発展させ、自ら課題を見つけて解決していく能力を身につけることを目指します。
今後のスケジュール
高等学校教育改革については、2021年度までに教科書の作成や検定を行い、2022年から2024年度より新学習指導要領が実施される予定です。また2024年度までに制度改訂に基づく教員の育成や研修が行われる見込みです。
大学教育改革については、2024年度までに各方針を踏まえた卒業認定、カリキュラム改革、入学者選抜の改革などが実施される予定となっています。
高大接続改革は、すべての高校と大学を巻き込んだプロジェクトであり、現段階で未確定となっている項目も多いので、今後もその動向に注目していきましょう。