子どもが不登校になったとき、親ができること
増加の一途を辿っている不登校児童
不登校児童の数がここ数年増加の一途を辿っており社会問題となっています。その原因は様々なものが関係していると思われますが、我が子が不登校になったとき、親として何ができるでしょうか。
不登校の定義
文部科学省では不登校について「何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義しています。(※1)
不登校児童と聞くと、数ヶ月単位の長期にわたって登校しないまたはできない生徒というイメージを持つかもしれませんが、文部科学省における定義上は年間30日、月にして2.5日の欠席で不登校ということになっているのです。
つまりひとくちに不登校と言っても、月に3日程度欠席する生徒もいれば、何ヶ月も登校しない生徒もおり、軽度から重度までが混在していることを認識しておく必要があるでしょう。
(※1)引用:文部科学省『不登校の現状に関する認識』より
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/futoukou/03070701/002.pdf
不登校児童の現状
文部科学省の行った調査では、小中学生の不登校児童生徒数は年々増加傾向にあり、2019年度には18万1,272人と過去最多を記録しました。内訳としては小学生が5万3,350 人、中学生が12万 7,922 人となっています。(※2)
ちなみに1991年度の小中学生の不登校児童生徒数は6万6,817人でしたから、20数年の間で3倍近くに膨れ上がっている状況です。
(※2)出典:文部科学省『令和元年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について』
https://www.mext.go.jp/content/20201015-mext_jidou02-100002753_01.pdf
不登校の原因
不登校になった要因は、先述の文部科学省の調査によると「無気力・不安」が39.9%で最も多く、続いて「いじめを除く友人関係をめぐる問題」が15.1%、「親子の関わり方」が10.2%と続きます。
このほか文部科学省が不登校児童の増加の要因として挙げているのが、2017年に施行された「教育機会確保法」の影響です。同法はフリースクールをはじめとした学校以外で学ぶ生徒の支援を目的としており、休養することの必要性も認めています。
「不登校は問題行動ではない」「無理に学校へ行かなくても良い」との考え方が浸透し、学校側も登校を促さなくなったことが、不登校児童の増加に拍車をかけていると見られています。
親の対応は?
「子どもが不登校になったとき、親の対応は?」というのはとても難しい問題です。
不登校は悪いことではないとの考え方は社会に浸透しつつありますが、不登校による学力低下や人格形成への悪影響など、親からしてみれば心配が尽きないのも確かです。
まずは不登校になった原因を探り、その原因を解消してあげることが先決でしょう。そして本人の意志を尊重しつつ、なるべく普段の学校生活に戻れるよう手助けしてあげるというのが親としてできることではないかと思われます。
親が過剰反応しない
子どもが突然不登校になってしまうと、気が動転したり、子どもへの接し方がわからず悩んだりすることもあるでしょう。
子どもが不登校になるにはきっかけがあります。まずは親が冷静になって子どもの話を聞き、子どもの行動や表情を観察し、不登校となった原因を探ることが大切です。
親が過剰反応してしまうと子どもの感情を刺激し、心を閉ざしてしまいかねません。なるべく普段どおりに接してあげたほうが、子どもの本音や抱えている悩みを聞き出しやすくなります。
選択肢はたくさんある
子どもと話し合った結果、どうしても学校に通いたくないという場合でも、通信制・定時制の学校への転校やフリースクールの活用など、多くの選択肢があります。
子どもの悩みを親だけで解決できない場合もあるかもしれません。そんなときは各種支援センターや児童カウンセラーに相談するのも手です。
不登校の原因が様々あるように、不登校への対処法にも「これ」という正解はありません。
多くの選択肢があることを忘れずに、子どもにとって最良の選択をしてあげるよう心がけましょう。