「定時制高校」とは? その特徴やメリット・デメリットをご紹介
「定時制高校」は多様な学び方に対応
「定時制高校」と聞くと「昼間は働いている人が夜に通う高校」というイメージを持たれる方が少なくないかもしれません。しかし、現在の定時制高校は多様化したニーズに合わせて、さまざまな変化を遂げています。
「定時制高校」とは?
定時制高校は、フルタイム制の全日制高校よりも1日あたりの授業時間が短く、基本的には1日4時限程度に設定されています。
夜間に授業が行われるというイメージを持ちますが、現在では「午前の部」「午後の部」「夜間の部」というように三部制を設けている高校も多いです。働きながら通学している人の勤務時間や、それぞれのライフスタイルに合わせて自由に登校時間を選択することができます。
通学スタイルは全日制高校と同様に、毎日学校に通学して集団授業で学ぶスタイルです。通学が必要という点で、毎日学校へ通う必要のない通信制高校とは異なります。
3年間で卒業することも可能
従来の定時制高校は、1日あたりの授業時間が短く、卒業に必要な単位を取得しきれないため、4年間かけて卒業するのが一般的でした。現在は制度の変更に伴い、「3年卒業コース」と「4年卒業コース」を選択できる学校が増えています。
ちなみに「3年卒業コース」を選択すると、1日あたりの授業時間が5〜6時限になるので、ご自身にあったコース選びをするようにしましょう。
卒業要件は?
卒業要件は高校の種類によって異なります。全日制高校は「学年制」、通信制高校では「単位制」が一般的です。定時制高校の卒業要件は、学校によって学年制か単位制か異なります。
学年制は1学年ずつ進級していき、3学年または4学年を経ることで卒業できる形態です。成績や出席日数が基準に満たないと進級できない「留年」制度が存在します。
単位制は卒業に必要な単位数が74単位と定められていて、1年間に取得する単位を自分のペースで決められるのが特徴です。従来は学年制が主流でしたが、単位制を採用する定時制高校も増えてきています。
どんな人が通っている?
定時制高校はさまざまな事情を抱えた生徒が通っており、文部科学省の発表によると、パートなども含めて働いている生徒の割合は約50%、ひとり親家庭の生徒が36.9%となっています。※1
また全日制高校の中退率が1%程度なのに対して、定時制高校の中退率は10%以上と高い水準にあります。※2
※1出典:文部科学省「高等学校教育の現状について」
※2 出典:文部科学省「定時制課程・通信制課程高等学校の現状」
定時制高校のメリット
定時制高校は1日あたりの授業時間が短いため、仕事や趣味、習い事など、学業以外の活動との両立が図りやすいのが最大のメリットといえるでしょう。
「午前の部」「午後の部」「夜間の部」と通学する時間帯を選べる点も見逃せません。
また通信制高校とは違い、実際に学校へ通学してクラスの仲間と一緒に授業を受けられます。クラブ活動や学校行事などを通じて、友達が作りやすいという側面もあります。
定時制高校のデメリット
1日あたりの授業時間が短い関係で、卒業までに4年間かかるのがデメリットのひとつです。学校によっては3年間で卒業するコースを選ぶことも可能ですが、その場合は1日あたりの授業時間を5〜6時限に増やす必要があります。
また、全日制高校と比べて自由度が高い定時制高校ですが、中退率も高いです。卒業するには各自の目的意識や意志の強さが求められます。
授業内容は全日制高校よりもやさしめのため、大学進学を目指している人の場合は学習内容が不足し、予備校などと併用する必要がある点もデメリットといえるでしょう。
自分に合った高校を選ぶようにしよう
定時制高校は自由になる時間が多く、学業以外の活動との両立が図りやすいという魅力がある一方、中退率は全日制高校と比べるとかなり高く、本人の意志の強さや自主性が求められます。
定時制高校の中にも二部制(昼間・夜間)や三部制(午前・午後・夜間)、学年制・単位制といった卒業要件に違いが見られるので、自分のライフスタイルにあった高校を選ぶようにしましょう。