「高専」とは? その特徴やメリット・デメリットをご紹介
人気アニメにも登場
漫画とアニメが大ヒット中の「呪術廻戦」では、「都立呪術高等専門学校」(呪術高専)という架空の学校が登場します。この作品で初めて「高専」という名称を知った方も少なくないかもしれません。
知名度が高くなく、「専門学校」や「専門高校」などと混同されやすい高専ですが、実際はどのような学校なのでしょうか。
「高専」とは?
高専とは「高等専門学校」の略称です。専門性の高い知識や技術を教授し、即戦力となりうる技術者を養成するための高等教育機関で、一条校(学校教育法第一条に掲げられている教育施設)に該当します。
高専が生まれた背景としては、1950年代後半の高度経済成長期に、科学技術の進歩に対応できる技術者のニーズが高まったことがあります。こうした産業界からの要請に応える形で、1962年に初めて国立高等専門学校が設立されたのが始まりです。
文部科学省の「学校基本調査」によると、現在は全国で57校(国立51校、公立3校、私立3校)の高等専門学校が設置されています。※1
出典: 文部科学省「学校基本調査-令和2年度 結果の概要-」
https://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/chousa01/kihon/kekka/k_detail/1419591_00003.htm
ロボコンで一躍有名に
「高専」と聞いてまず思い浮かべるのが、ロボコン(ロボットコンテスト)という人も多いでしょう。
NHKが主催する「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト」(高専ロボコン)は、1988年から行われている歴史あるイベントで、高専ロボコンに憧れて高専を目指す人も少なくないようです。
ロボコンへの出場が目的でなくても、将来ロボット関係の職業に就きたいと考えている人にとって、高専は有力な選択肢のひとつといえます。
「高専」の特徴
高専は大学や短大と同様の「高等教育機関」に属していながら、中学校卒業時点で入学することができ、5年間(商船高専は5年半)の一貫教育を行うのが特徴です。
ちなみに一般的な高校は「高等教育」ではなく「中等教育」に該当するため、高校よりも区分の高い教育機関といえます。
5年または5年半の本科を終えて高専を卒業すると「準学士」の称号を得られ、短大卒と同等の扱いになります。その後に2年間の専攻科を修了すると、大学改革支援・学位授与機構の審査を経て「学士」の学位を取得可能です。
そのため、高専卒業者は大学への編入資格があり、専攻科を修了して学士を取得すれば大学院への入学資格を得ることもできます。
「高専」の学科はどんなものがある?
高専の学科には機械・材料系や電気・電子系、情報系、化学・生物系、建設系、建築系、商船系、複合系などがあります。いずれも理系・工学系に特化しており、技術者やエンジニアを目指している人、卒業後はメーカーなどにすぐ就職したい人に最適な学校といえるでしょう。
また高専卒業後に大学や大学院に進み、自身の研究をさらに深めていくことも可能です。
「高専」のメリットとは?
高専のメリットは、実験・実習・実技を重視した実践的な技術教育を受けられる点です。そのため普通科の高校卒業生や大学生と比較して、就職後は即戦力となることができます。
また、高専卒業生に対する求人倍率は10〜20倍、就職希望者の就職率はほぼ100%という高い水準を誇っているのも大きなメリットです。近年の即戦力となる技術者へのニーズが高まる風潮の中、大手企業からも注目される存在であり、就職に強い学校として高専を再評価する動きが見られています。
「高専」のデメリットとは?
産業界や大手企業からの評価の高さとは裏腹に、国民全体の高専に対する認知度はそれほど高くありません。入試倍率が低い点は高専の問題点と指摘されていて、実際、高専と工業高校を混同している人も少なくないようです。
「高専」の偏差値はどれくらい?
高専の偏差値はおおよそ69〜47程度に分布し、約半数の高専は偏差値60以上となっています。人気の高い高専は難関高校と同程度の難易度です。特に兵庫県の明石工業高専は、難易度の高い高専として知られています。
高専に興味を持たれた方は、他にどんな学校があるか調べてみてはいかがでしょうか。