「観点別評価」が変更? 成績表の評価方法を解説
内申点に直結する「観点別評価」
小中高の学習指導要領が改訂され、成績表の「観点別評価」にも変更があったことをご存知でしょうか?
観点別評価は、生徒一人ひとりの学力や習得状況、授業態度などを把握するための指標であると同時に、成績表の評点にも直接関わるものです。内申点を求められる推薦入学などを目指す生徒にとって、評価の変更は死活問題といっても過言ではありません。
観点別評価の変更点や、具体的な評価方法を知っておくことは、推薦を目指す際のポイントになります。
「観点別評価」とは?
まずは、観点別評価についておさらいしておきましょう。
先生が生徒の成績表を作成する際は、各教科について、ある「観点」(ポイント)に基づいてA・B・Cの評価を出しています。
これは、先生によって評価の仕方にばらつきが出たり不公平が生じたりするのを避け、なるべく多角的な視点でバランス良く評価するためです。
例えば、「テストの点数はとても優秀だが、授業態度が悪い生徒」と「最初はテストの点数が悪かったが、日々の努力で学力が向上しつつある生徒」がいたとしましょう。
成績表をつける際に、テストの点数だけを基準にする先生だと、前者の生徒の評価は高く、後者の生徒の評価は低くなるはずです。反対に、授業態度や努力を重視する先生の場合、評点は逆転してしまいます。
このような事態を避けるために作られたのが観点別評価です。
現在の観点別評価で用いられている観点は、「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の3点となっています。
「知識・技能」が優秀でも「主体的に学習に取り組む態度」が低ければ、最終的な評点は高くならないというわけです。
「観点別評価」の変更点
以前の観点別評価では、「知識・理解」「技能」「思考・判断・表現」「関心・意欲・態度」の4つの観点から評価がなされていました。前述の通り、現在は「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」という3つの観点で評価する形となっています。
一見すると、従来の「知識・理解」と「技能」が「知識・技能」に集約され、「関心・意欲・態度」が「主体的に学習に取り組む態度」に変わっただけに思えます。
ではなぜ、観点別評価は変更されたのでしょうか。
「観点別評価」と「新学習指導要領」の関係
今回の観点別評価の変更に深く関わっているのが、新学習指導要領です。
新学習指導要領では、次世代を担う子どもに必要不可欠な資質や能力の「三本柱」が掲げられています。それが、「①知識及び技能」「②思考力、判断力、表現力等」「③学びに向かう力、人間性等」の3つです。
この三本柱の項目は、以下の通り新しい観点別評価と対になっています。
「①知識及び技能」=「知識・技能」
「②思考力、判断力、表現力等」=「思考・判断・表現」
「③学びに向かう力、人間性等」=「主体的に学習に取り組む態度」
つまり、新学習指導要領の育成方針と観点別評価を対応させることで、新学習指導要領に則った教育方針が効果的に推進できているか、生徒がその教育方針に沿って成長しているかを、わかりやすくしているのです。
成績表の評価方法
それでは、観点別評価のA・B・Cはどのように決められるのでしょうか。
「知識・技能」の評価は、主にペーパーテストの結果に基づきます。知識の習得状況を問う問題だけでなく、概念的な理解度を測る問題や、観察・実験などの知識と技能を用いる場面を設け、多面的に生徒を評価します。
「思考・判断・表現」の評価は、ペーパーテストにとどまりません。論述やレポートの作成、発表、グループディスカッション、作品の制作、表現活動など、多様な活動を通じて評価が行われます。
「主体的に学習に取り組む態度」の評価は、知識・技能・思考力・判断力・表現力を身に付けるために粘り強く取り組みを行おうとする態度や、自らの学習状況を把握して学習の進め方を試行錯誤する姿勢が見られるかといった観点から行います。
ノートやレポートの記述内容、授業中の発言や行動、生徒による自己評価などが一例です。これらを総合的に考慮して評価を行います。
3つの観点について、「十分満足できる状況」ならA、「おおむね満足できる状況」ならB、「努力を要する状況」ならCという形で分けられます。
先生達がどのように成績表の評価を行うかを知ることは、内申点の対策に役立つはずです。推薦入試などを狙っている場合は、参考にしてみてはいかがでしょうか。