高校の新教科「情報I・情報II」とは? 今から準備すべきこと
2022年度より新学習指導要領がスタート
小学校・中学校ではすでにスタートしている新学習指導要領が、2022年度から高校においても始まります。
2022年度では高校1年生、2023年度からは高校2年生、2024年度からは高校3年生という形で、新学習指導要領への切り替えが順次行われる予定です。
今回の学習指導要領改訂の中でも、特に注目したいのが「プログラミングの必修化」です。高校の情報教育は、どのような変化を遂げるのでしょうか?
情報科目の再編
最初に、高校の情報科目がどう変わるのか見ていきましょう。
現状の高校教育では、プログラミングがない「社会と情報」と、プログラミングを扱う「情報の科学」の2科目があり、いずれか1科目を選択する形式となっています。現在は約8割の生徒が、プログラミングのない社会と情報を選択しているのが実情です。
新学習指導要領では、「情報I」と「情報II」に再編されます。
情報Iはプログラミングを含む内容となっており、共通必履修です。IT全般や情報モラルといった座学に加え、プログラミング言語の学習、データ分析等の学習を行います。
情報IIは選択科目になりますが、内容はさらに高度です。情報技術を使った問題解決や、情報システムの設計ができるレベルを想定しています。
つまり2022年度から、プログラミングは避けて通ることのできない必須科目になるわけです。
情報教育の目標
文部科学省は新学習指導要領において、情報教育の目標として以下の3つを掲げています。
1つ目は「情報活用の実践力」です。課題や目的に応じて情報手段を適切に活用することを含め、必要な情報を主体的に収集・判断・表現・処理・創造し、受け手の状況などを踏まえて発信・伝達できる能力をつけることとしています。
2つ目は「情報の科学的な理解」です。情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と、情報を適切に扱ったり、自らの情報活用を評価・改善したりする基礎的な理論や方法を理解することとなっています。
そして3つ目は「情報社会に参画する態度」です。社会生活の中で情報や情報技術が果たしている役割と影響を理解し、情報モラルの必要性や情報に対する責任について考え、望ましい情報社会の創造に参画しようとする態度を育むのが狙いです。※
※出典:文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説 情報編」
https://www.mext.go.jp/content/1407073_11_1_2.pdf
「共通テスト」はどうなる?
高校の情報科目の変更に伴い、2025年から「大学入学共通テスト」の出題教科に情報Iが加えられることが正式に決まりました。
情報Iの試験は、タブレットなどを使って解答する「CBT方式」も検討されていましたが、現状ではクリアすべき課題も多いことから、従来通りのマークシート方式が採用される見込みです。試験時間は60分となっています。
また、既卒者等への配慮として、現行の選択必履修科目である「社会と情報」と「情報の科学」に対応する経過措置も講じられる予定です。具体的な出題形式については大学入試センターにて検討中です。
今からできる対策は?
プログラミングの必修化に、不安を覚えている方も少なくないでしょう。情報科目の変更に際して今からできる対策についてご紹介します。
前提として、これまでの情報科目から内容が大きく変わるわけではありません。新しい要素は加わりますが、現行の内容をきちんと学んでおけば、あまり心配しすぎる必要はないでしょう。
小学校では2020年から、中学校では2021年からプログラミング教育が実施されているので、これらの授業をしっかり受け、着実に身に付けていくことが重要です。
プログラミングのスキルを高めておきたい場合は、さまざまな教材やオンラインセミナー、学習塾など利用するのも手です。
これからの時代は職業を問わず、あらゆる場面で情報活用の能力が求められます。コンピュータやプログラミングに抵抗感のある方は、プログラミングを題材としたゲームなどから、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。