なぜ「失敗を恐れる子」が増えているのか? チャレンジ精神を育む方法
失敗を恐れる子ども
「最近の子どもは失敗を恐れる」と、教育現場やスポーツのコーチなど、普段子どもと接する機会の多い人であれば肌で感じているかもしれません。
統計上明らかになっているわけではありませんが、失敗を恐れたり、やる前から諦めてしまったり、新しいことにチャレンジしようとしない子どもが増えている点は、以前から指摘されていました。
職場でも、「初めから正解を知りたがる」「自分に与えられた仕事以外に手を出さない」といった新入社員の行動が目立ち、最近の若者は失敗を恐れるようになったと感じる方も多いのではないでしょうか。
失敗を恐れる理由
それではなぜ、子どもは失敗を恐れるのでしょうか?
失敗すると人に迷惑をかけ、親や先生から怒られる。怒られると嫌な気持ちになるので、失敗しないようにする。失敗しないように心がけること自体は成長の証であり、決して悪くはありません。失敗を恐れる気持ちがあるからこそ、うまくやろうと努力します。
問題なのは、失敗を過剰に恐れて「何もしなければ失敗はしない」と学習してしまうことです。いわゆる「事なかれ主義」になってしまうと、積極的に行動できなくなり、成長の機会も奪われてしまいます。
子どもが失敗を恐れるようになった原因
失敗を恐れるのは自然な人間心理で、悪いことではありません。しかし、度が過ぎると子どもの成長の妨げになります。
最近の子どもが失敗を過剰に恐れる原因は、どこにあるのでしょうか。
「親や先生が失敗を怒るようになったから」と指摘する人がいます。一理あるかもしれませんが、最近の大人はむしろ子どもに優しくなっており、それが原因と片付けるのは早計でしょう。
大きな要因として考えられるのは、少子化の影響です。子どもの人数が減り、子どもに向けられる大人の目が相対的に増えた結果、社会全体が子どもに対して過保護・過干渉の状態になっています。常に大人の視線に晒されることが、子どものプレッシャーになっている可能性があります。
また、社会全体の傾向として「失敗に対して厳しくなった」点も、一因に挙げられるでしょう。
「子どもは社会を映す鏡」です。現代社会の傾向が、子どもに投影されているに過ぎないのかもしれません。
親が失敗を恐れ過ぎないこと
では、親は子どもに対してどのように接すれば良いのでしょうか。
大切なのは、親が子どもの失敗を恐れ過ぎないことです。人間は失敗を繰り返して成長するものであり、失敗は欠かすことのできない経験です。
大事なのは「失敗しないこと」ではありません。「どうすれば次は失敗しないか」を考え、言動を改めることです。失敗を恐れて挑戦から逃げていると、自分の言動を改める機会を得られないまま大人になってしまいます。
また、子どもを大切に思うあまりに、あれこれ先回りして親が手を出してしまうのも、成長を阻害する原因となります。
親が子どもの障害を取り除き、失敗しないよう育てた場合、子どもに社会の逆境に立ち向かえる力は備わっているでしょうか?
子どもが失敗を恐れずチャレンジするようになるには、親が子どもの失敗を恐れ過ぎないことです。
チャレンジ精神に称賛を
とはいえ、できれば失敗したくないというのが人情で、それは子どもも同じです。
性格的に引っ込み思案な子や完璧主義的傾向の子は、特に新しいことにチャレンジするのを怖がります。
そんな場合は、小さなことからチャレンジする機会を与え、成功体験を積み上げて行きましょう。一つひとつは小さなものでも、成功体験を繰り返し得ることで喜びや自信が生まれ、自己肯定感が高まっていきます。
大人でも、新しいことにチャレンジするのは相当な勇気とエネルギーを要するものです。子どものチャレンジ精神には大いなる称賛をおくり、応援してあげましょう。