「子どもが親の真似をする」のはなぜ? 真似されていることを意識しよう
最近口調が親に似てきた我が子……
子どもは3歳頃になると妙に大人びた口調や難しい単語を使うようになり、時折大人を驚かせます。幼稚園や保育園の先生、テレビ、YouTubeなどの影響も考えられますが、多くの場合は「親の口調を真似ているだけ」というパターンです。
きれいな言葉遣いだけを真似てくれたら良いのですが、親にとって真似されたくない口調ばかりを使うようになり、困っている親御さんも多くいらっしゃるかもしれません。
親の口真似が親子喧嘩の原因に……
特に子どもが真似やすいのは「そんなことしたらだめでしょ!」「早くして!」「なんでできないの?」といった叱り口調です。兄弟姉妹やお友達を叱っているのを聞くと、まるで親のコピーのようにすら感じることがあります。
このような叱り口調を、親に対して使ってくるケースも見られます。親のイライラの原因となり、親子げんかに発展してしまうのも珍しくありません。
子どもが親の真似をしないようにすることはできないのでしょうか?
また、そもそもなぜ子どもは親の真似をするのでしょうか?
子どもが親の真似をする理由その1「成長のため」
子どもが親を真似る理由はいくつか考えられますが、前提として、人は他人の真似をするのが本来の姿だという点です。人は他人を真似ることで成長していきます。このような人間の特性を「モデリング」(模倣学習)と呼びます。
赤ちゃんが大人を真似して色々やりたがるのも、自分でやってみて行動の意味を確かめているからです。また、親の口調を真似ることで、少しずつ言葉を覚えていくこともできます。
人を真似ることは、子どもが社会性を身につけるため、知識や技術を習得するために、必要不可欠な行為なのです。
子どもが親の真似をする理由その2「敬意や好意の現れ」
人の真似をするのは、何も子どもだけではありません。大人でも「憧れのあの人みたいになりたい」という思いから、他人のファッションや仕草、口調、行動様式などを真似ることがあります。
子どもにとって最も身近で、敬意や好意の対象になる人間は、もちろん自分の親です。子どもが親の真似をするのは、それだけ親を尊敬し、好意を持っているからに他なりません。
少なくとも、親をイライラさせるためにわざと親の口真似をしているわけではないということです。
親が気をつけるべきポイント
他人の真似をすることは、成長するために欠かせない行為です。敬意や好意の表れでもあるので、子どもが親の真似をするのは自然なことといえます。
それらを踏まえたうえで、親として注意が必要なポイントについて考えてみましょう。
まず、乱暴な言葉遣いやマナー違反になる行為など、「子どもに真似されては困ると思う言動」は慎むべきです。
子どもは親の言動を注意深く観察しています。しかし、善悪の判断能力が未熟な時期なので、親の言動をそのままお手本にしてしまうのです。
また、子どもが親の真似をすることで、不慮の事故や身の危険を招く可能性がある点も忘れてはいけません。
キッチンで料理する母親の真似をして包丁で手を切ったり、熱いフライパンを触って火傷を負ったり、父親が吸っているタバコを誤飲したりといった事故は、しばしば発生しています。
親は常に「子どもが見ている」という意識を持ち、「真似をされる前提で」自らの言動を見直す必要があるでしょう。
真似されることを逆手に取ろう
子どもが真似をするのはネガティブな言動だけではありません。親がポジティブな言動を心がければ、自然と子どもにも良い影響を与えることができます。
例えば、親が読書を習慣にしている家庭では、その姿を常日頃から見て育った子どもは読書の習慣が身につく可能性が高いことが知られています。親の価値観が自然と子どもに刷り込まれていくことも、経験上理解できるという方も多いのではないでしょうか。
子どもが親の真似をすることを逆手に取り、子どもに良い影響を与えていきましょう。