弁護士になるには? 「司法試験」の難易度や受験資格について解説
弁護士はあこがれの職業
いつの時代も、弁護士はあこがれの職業のひとつです。多くの人が「社会的ステータスが高い」「高収入」「安定している」といったイメージを持たれているのではないでしょうか。
弁護士は、社会秩序の根幹を担う法律を扱う者として、重い責任とモラルが求められる職業です。なるのは簡単なことではありませんが、自らの知識で社会に貢献できる、やりがいのある職業といえるでしょう。
司法試験とは?
司法試験とは、法曹になるための国家試験のことです。法曹は法律を扱う専門職を意味する言葉で、一般的には弁護士・検察官・裁判官を指します。
つまり、弁護士になるには司法試験に合格することが必須条件です。
司法試験は最難関試験のひとつとして知られていますが、合格率は年々上昇傾向にあり、近年は30%程度となっています。2011年まで行われていた旧司法試験の合格率が、3%ほどで推移していたことを考えると、大幅に受かりやすくなったといえるでしょう。
ただし、30%程度というのは、あくまで司法試験の合格率だけを見た場合です。司法試験は、受験資格を得るまでが難しいといわれています。
司法試験の概要
司法試験を受験するには、法科大学院課程を修了するか、司法試験予備試験を合格する必要があります。
試験実施時期は毎年5月中旬の4日間で、1〜3日目は論文式試験、4日目は短答式試験です。
論文式試験の試験科目は、公法系(憲法・行政法)、民事系(民法・商法・民事訴訟法)、刑事系(刑法・刑事訴訟法)、および選択科目となっています。
短答式試験はマークシート方式で、試験科目は憲法、民法、刑法の3科目です。
このように、司法試験は出題範囲が非常に膨大です。さらに各科目には基準点が定められていて、1科目でも基準点に満たなければ不合格となります。全ての科目をまんべんなく対策し、苦手強化を潰さなければいけません。
法科大学院ルートとは?
司法試験の受験資格を得る1つ目の方法が、「法科大学院課程を修了」するルートです。法科大学院の入試に合格し、2年間または3年間の履修を修了することで、司法試験の受験資格を得られます。
司法試験合格者の約8割がこの法科大学院ルートとなっていて、司法試験を目指すうえで最も一般的な方法といえるでしょう。ただし、法科大学院に進学するには、原則として4年制大学を卒業している必要があります。
また、法科大学院ルートは、法学部卒業者などを対象にした「法学既修者コース」と、「法学未修者コース」に分かれています。法学既修者コースは実務科目を2年間履修して修了となりますが、法学未修者コースは実務科目に加えて、基礎法律科目を1年間履修しなければいけません。
高い司法試験合格率を誇る法科大学院もある一方で、わずかな合格者しか出せない法科大学院も存在します。
予備試験ルートとは?
司法試験の受験資格を得るもう1つのルートが、「司法試験予備試験の合格」を目指す予備試験ルートです。
予備試験には、学歴や年齢などの制限はありません。本人の努力次第では、法科大学院ルートよりも短期間かつ低コストで受験資格を得られる可能性があります。仕事をしながら予備試験合格を目指すことも可能です。
合格率は4%程度と、予備試験は司法試験以上に難関といわれる一方で、司法試験と共通した問題が多く出題されるため、予備試験に合格すれば司法試験にも合格するといわれます。現に予備試験合格者の約9割は、司法試験にも合格しています。
ただし、予備試験を独学のみでパスするのは難しく、予備試験に特化した塾などに通うのが一般的です。
自分に合ったルートを選ぼう
法科大学院ルートは、現役弁護士のOB・OGとのつながりを作るなど、キャンパスでの人脈作りが期待でき、弁護士になってから役立つ実務的なことを学べるというメリットがあります。
一方で、予備試験ルートは、年齢や学歴に関係なく誰でもチャレンジでき、努力次第で時間と費用を抑えられるのが強みです。
なるべく早い段階から計画を立て、自分に合ったルートを見極めるようにしましょう。