【高校英語】新設された科目「英語コミュニケーション」「論理・表現」とは?
2022年度より高校英語に変化が
文部科学省が公示した新しい学習指導要領に則り、2020年度から小学校で「外国語活動」や「外国語科」がスタート、2021年度から中学校で外国語での授業が実施という形で、外国語教育の段階的な変革が行われています。
2022年度からは、高校の英語の授業に「英語コミュニケーション」と「論理・表現」という2科目が新設されていますが、どのように変化したのでしょうか。
高校の英語科目改訂の狙いは?
英語を使いこなすためには、「聞く」「読む」「話す」「書く」という「4技能」をバランス良く伸ばす必要があるとされています。日本の高校生の現状は、4技能全般の中でも、発信力に関わる話す技能や書く技能が弱いという問題がありました。
また、聞いたり読んだりした内容に基づいて話したり書いたりするなど、4技能を統合的に使った言語活動が不十分で、グローバルな時代に対応できる授業のニーズが高まっていました。
英語の4技能の底上げや、発信能力の育成を目的に作られたのが、今回の高等学校学習指導要領なのです。
「英語コミュニケーション」とは?
英語コミュニケーションは、従来の「コミュニケーション英語」に代わって新設された科目です。具体的には、以下のように変更されています。
【従来】
・コミュニケーション英語基礎
・コミュニケーション英語I(必履修科目)
・コミュニケーション英語II
・コミュニケーション英語III
【新設】
・英語コミュニケーションI(必履修科目)
・英語コミュニケーションII
・英語コミュニケーションIII
名称が若干変わり、4科目から3科目に減っただけにも見えますが、その内容や目標は異なります。
従来のコミュニケーション英語は、英語の情報を的確に理解したり伝えたりといった、基礎的な英語能力を養うことが目標の科目でした。
一方で、新設された英語コミュニケーションは、使用目的やシチュエーションに応じて適切に活用できる英語の技能を養うことが目標です。より「使える英語」の習得に主眼を置いている点が大きな違いといえます。
さらに、従来の4技能も見直しが入り、「4技能5領域」の習得が求められます。
4技能5領域では、「聞く」「読む」「話す(やり取り)」「話す(発表)」「書く」と、話す領域が細分化され、重要視されているのが特徴です。
「論理・表現」とは?
論理・表現は、従来の「英語表現」に代わって新設された科目です。具体的には、以下のように変更されています。
【従来】
・英語表現I
・英語表現II
【新設】
・論理・表現I
・論理・表現II
・論理・表現III
論理・表現の目標は、4技能5領域のうち「話す(やり取り)」「話す(発表)」「書く」といった英語のアウトプットを強化することです。授業ではスピーチやプレゼンテーション、ディスカッション、ディベートなど、アウトプット型の言語活動を中心に扱い、英語での発信力強化を目指します。
また、従来の「英語会話」は廃止となりました。
習得する語彙数が増加
大きな変更点として、高校3年間で習得する語彙数の増加も挙げられます。従来の1,800語から最大2,500語と、700語ほど増加しました。
新学習指導要領では、小学校で600~700語、中学校で1,600~1,800語の習得を目指すとなっていて、高校卒業時点で合計4,000~5,000語を習得することになります。
従来は高校卒業時点で合計3,000語の習得が目標だったため、約1.5倍の語彙を覚えなければいけません。
英語の習得を目指す際に、語彙力は重要な要素のひとつです。今回の新学習指導要領では、さらに語彙力が重要視される形となりました。
日々の授業と予習・復習を大切に
これまで見てきたように、高校での英語の授業は高度な内容に変化しています。
発信力やアウトプット能力といった応用を利かせるには、語彙力や文法などの基礎が欠かせません。
学校の授業を真剣に受けるだけでなく、家庭での予習・復習をしっかりと行い、基礎的な力を着実に養っていきましょう。