222(コラム)

高校家庭科で必修化された「資産形成」とは? 授業の狙いや内容について

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金融リテラシーの向上が急務

最近「金融リテラシー」という用語を、テレビやネットで見聞きする機会が増えています。

「リテラシー」は「知識」や「能力」という意味の言葉です。つまり、金融リテラシーとはお金や金融資産に関する正しい知識を習得し、有効活用する能力のことを指します。

 

今後、金融リテラシーの重要性はさらに増すといわれており、文部科学省も金融リテラシーの向上を重視しています。新学習指導要領に則り、2022年度からは高校の家庭科で「資産形成」の授業がスタートしましたが、なぜ高校の授業で学ぶ必要があるのでしょうか。

 

「資産形成」必修化の背景

高校の授業で資産形成を扱うようになった背景には、我が国を取り巻く社会情勢の変化が関係しています。中でも代表的なのが「老後資金2,000万円問題」です。

この問題は、金融庁が2019年に公表した報告書が情報源となっていて、テレビの報道番組やニュースサイトでも大きな話題となりました。報告書では、退職金が減少傾向にあることや、少子高齢化で年金支給額が減少していく現状を踏まえて、国民一人ひとりが適切なライフプランを立て、資産運用を充実させる必要があると説いています。

 

2つ目の背景は「ライフプランの多様化」です。

従来の主流だった終身雇用制は崩れ、誰もが転職を経験する可能性がある社会に変化しつつあります。ライフプランが多様化したことで、自力で生活を成り立たせる術を身に付けなければならない時代に突入しているといえるでしょう。

自分から様々な情報を集め、暮らし方に適した資産形成を行う必要があります。

 

そして、3つ目の背景として挙げられるのは「成人年齢の引き下げ」です。

2022年度、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられました。クレジットカードの作成や各種契約を行える年齢が下がったことで、金銭トラブルなどに巻き込まれるリスクが高まっています。

 

3つの要因により、高校生のうちから金融リテラシーを高める必要が高まったため、家庭科の授業で資産形成を扱うこととなったのです。

 

 

どんな授業内容になるのか?

具体的に、高校ではどのような形で資産形成の授業が行われるのでしょうか?

高等学校学習指導要領によると、「生涯を見通した経済計画を立てるには、教育資金、住宅取得、後の備えの他にも、事故や病気、失業などのリスクへの対応策も必要であることについて理解し、貯金、民間保険、株式、債券、投資信託等の基本的な金融商品の特徴(メリット、デメリット)、資産形成の視点にも触れながら、生涯を見通した経済計画の重要性について理解できるようにする」とあります。※1

 

複数の金融商品の特徴や違いを学んだうえで、どのように資産形成していくか、様々なリスクを踏まえてどんなライフプランを立てるかなど、従来の授業に比べるとかなり踏み込んだ内容を扱うようです。

 

また、金融庁も、職員による授業の実施や、パンフレットや動画の配信、家庭科の教師に向けた研修活動などを通じて、金融リテラシー教育の推進に力を注いでいます。

 

※1 引用:文部科学省「【家庭編】高等学校学習指導要領(平成30年告示)解説」より

https://www.mext.go.jp/content/1407073_10_1_2.pdf

 

 

家庭内でも金融教育を

学校教育で資産形成が行われると、子どもからお金に関する質問や相談を受けるケースが増える可能性があります。

子どもの問いにある程度は答えられるように、親も金融の知識を学んでおくことが大切です。

 

他人とお金の話をするのは嫌がられる風潮もありますが、その風潮こそが日本人の金融リテラシーが低い要因といえるのではないでしょうか。

お金は、健全で安定した生活に必要不可欠です。資産形成の必修化を機に、家庭内でお金のことについて話し合い、親子で金融リテラシーを高めていきましょう。

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